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nobuyoshikobori

とある日、FEELにて。

「こんなに記憶に残るもの、あまりなくて。」

と、中村ナリコさんの作品を眺めながら。



「絵や写真を観に行ったりしても、どこをみよう、どうみよう、と。

愉しむ、味わうより、色々考えてしまう感じで。でも後にはあまり残らなくて。」

と。お近くにお住まいで、いつもお話しするたび、その言葉にハッとさせられるお客様。


「でも、これは全然違って。

気になって忘れられなくて。」と。


「この写真はなんだろう、見るというより、すうっと入ってくる感じで、本当に自然に。この景色の中にいるみたいに。」

横に並びながら、暫く色々とお話ししながら、眺め続けて。


私が想うこの作品のこと、時間やその光で刻々とかわったり、など話しながら。眺める場所や角度でもまた、と移動し視点をかえて。



少し斜めな場所では

「あ。奥行きが、先がひろがりましたね。」

作品の場所を壁からベンチへと

「ああ。青が濃くなって、水の深さが。」


その言葉を聞いていると、私がこの作品に惹かれる理由が。朧げだったものが段々と鮮明になってくるようで。


そして私が、この頃は視力低下が気になる事多く、でも、この作品を眺めている時はそれが何も気にならず心地よく、と話すと。

「あ、そうですね!私も一緒です。たぶん、見ようとしていないので、見えない見づらいが無いんですね。でも、この感じがとてもよいです。むしろ目が悪くてよかったって、はじめて思いました。」

と少し楽しそうに。


同じ作品を眺めながら、

こんなにも同じ感覚を共有出来たこと、

それはとても幸せな時間で。

ナリコさんがくれた時間。


「時間はかかって全然大丈夫ですので、今日お願いしていってもよいですか。」


こんなにもこの作品を感じて頂ける方の手元に、この作品をお届けすることが出来る。こんな嬉しいことはなく。


いつもの様にサングラスをかけながら、夏空の様な外へと向かうお客様。

その背中を眺めつつ感謝と共に頭を下げながら、

この写真を撮った時のナリコさんに伝えたいな、と。


あなたが撮った

その大好きな場所の

その奇跡の様に美しいしじま

それは静かに時を経て

こうしてこんなにも届いてますよ、と。


『とある日、FEELにて。』より



FEEL

5.05.2023

OPEN 12:00〜18:00


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